音を立てなが

小学生の頃、祖母は小田原に住んでいた。小高い山の中腹にある小さな家の裏は雑木林で、夏休みに泊まりにいくと、蝉の声がまさに時雨のように降っていた。
あたしは蝉そのものよりも、なぜか蝉の抜け殻が大好きで、草むらに落ちているそれを拾っては、しげしげと眺めていた。背中の割れ目から脱皮するのは分かるにしても、かくかくした細い足や、その足についた棘のような突起までがきちんと空洞で、不思議でしかたがなかった。いったいどうしてこんなにきれいに脱げるんだろう。
光にかざして眺めては虫かごに入れ、また見つけては光にかざし。気づけば虫かごいっぱいに、蝉の抜け殻。嬉々として持ち帰り、部屋に置いて眠ったら、夢を見た。
蝉の抜け殻が、かさかさ、かさかさ、音を立てながら籠から抜け出し、かさかさ、かさかさ、窓をあけて外に出て行く。月の明かりに、からだを透かして。
翌る朝、起きるとすぐに籠を手に、外に出た。雑木林の入り口の大きな木の根元に、虫かごから取りだした蝉の抜け殻をそっと並べた。ごめんね、帰りたかったんだね、と、胸の中で謝りながら。
2014年08月07日 Posted by ranjian at 17:51 │Comments(0) │miesiei
雷が具体的に

まずはこのストーリーの主な登場人物です。2人、少師部の栖軽と天皇です。少師部の栖軽は雄略天皇の重要な従者でありました。天皇が磐余の宮にお住まいになっていたとき、天皇は后と大安殿で共寝されていた時、栖軽は知らずにその中に入ってしまいました。天皇は恥ずかしがり、やめてしまいました。
ちょうどそのとき雷が鳴りました。天皇は「あなたは雷をつれてこられるか」と言った。栖軽は「できます」と言います。天皇は「ならば連れてこい」と言いました。栖軽は意気揚々と宮を離れます。
栖軽は赤い布を額につけて、赤い旗を振り回しながら馬に乗って阿倍、山田の近くの道と豊浦の寺の前の道をとおり、軽諸越之衢に至ります。「空の雷よ。天皇がお呼びです云々」と叫び、「雷と言えども、天皇の言うことを拒むことはできないだろう」と言います。その帰りに豊浦の寺と飯岡の間に雷が落ちていた。栖軽はそれを見て、さっそく神官を呼んで、御輿に入れさせて、宮に持ち帰り「雷をつれてきました」と言います。天皇はそれを見て、恐れおののいて、供え物をささげて、雷が落ちていたところに返させた。今はその場所を雷の岡と言います。
栖軽が死んだとき、天皇は彼の忠信を思い慕い、七日間留め、その後墓を作り、碑文の柱をこう書いた。
その雷が彼のことを憎んで、鳴り、落ち、碑文の墓を折り踏みつけ、その柱の折れた間に捉えられた。天皇はそれを聞き驚いて、その雷を放ったが七日間放心状態だった。天皇は碑文を立て直した。
これが飛鳥の電の岡と言う地名の由来である。
できればこの簡単なストーリーを読む前後に原文の訓読文を新潮か岩波の日本霊異記で読んでほしいのですが、まあ、手に入らなければいいと思います。
少師部の栖軽と言うものは言うまでも無く人の名前です。少師部というのは苗字のようなものですね。天皇は磐余の宮で后と共寝、要するに一発やっていたところ、栖軽に見られてしまいました。磐余の宮というのは別荘みたいな場所でした。そして共寝には五穀豊穣を願う願いがこめられての行為でした。実際はどうだか知りませんが。おそらくのぞかれた恥ずかしさから、栖軽に一矢報いてやろうということで雷を持って来いとか言い出したのでしょうね。
この説話の面白い部分は地名の縁起譚であること以上に、雷が具体的に描かれているところにあると思います。例えば菅原道真が大宰府に飛ばされた後、雷になって都で大暴れしましたが(生霊ですね)、雷は当時、相当恐れられていたものだったと思います。それをまあ、結果的に冗談を真に受けて本当に捕まえてきてしまった栖軽を称える意味での日本霊異記上巻初めの話に乗せられているのでしょうね。
次回は上巻十の説話を読んでいきます。最後までありがとうございました。
そういえば、自動車学校卒業してきました。近いうちに水戸に行って試験を受けてこようと思います。
おやすみなさい。
2014年08月06日 Posted by ranjian at 12:35 │Comments(0)
糠味噌みたい

みなさん、そろそろキエーロの話しは飽きてこられたと思います。
今日は高島市環境政策課からキエーロ制作費の補助金についての結果について報告がありましたのでお知らせします。
キエーロについては補助金は出ません。
でも段ボール箱で作るコンポストの基材、もみがらくん炭とピートモスについては補助金は出るということです。
段ボール箱で作るコンポストもエコでいいなと思うのですが、3ヶ月くらいでその箱は終了で堆肥に使います。
堆肥が必要でない方には、これはこれで処理に困るかもです。
ダンボールコンポストについて2つの動画を紹介します。上の動画の方が興味深く見ることができると思います。
下の動画のほうが作り方の説明が丁寧です。
ダンボールコンポストの作り方
生ごみリサイクル ダンボールコンポストの作り方と使い方
毎日ゴミをほかしてかき混ぜます。糠味噌みたいに菌を育てることが必要のようです。
毎日かき混ぜる手間を惜しむ方はキエーロの方が向いているかも。
私は毎日かき混ぜるのが苦手なタイプです。